タグ: 吠える

 犬の臨界距離

こんにちは!プレイボゥのトレーニングマネージャーの赤堀です。

 

前回は、「犬たちには臨界距離があり、それを超えてしまうと攻撃行動に出てしまう」ということをお話しました。

 

今回は、この「臨界距離」についてお話します。

 

「臨界距離」は、またの名を「社会的距離」と言います。

 

これは簡単に言うと、「これ以上近づかないで!」という境界線のことを言います。

 

臨界距離を超えるとどうなるかというと・・・

 

「怖い!!!」と、犬は逃げ出したり、

 

もしくは

 

「あっち行け!!」と相手を追い払おうと攻撃に出るのです。

 

犬同士の喧嘩

犬同士のケンカの理由にもなる!

 

これを「闘争・逃避反応」または「戦うか逃げるか反応」などと呼びます。

 

動物は危険を感じると、自分の身を守るためにこのような行動に出るわけですね。

 

例えば、あなたが兄弟仲の良い友達など親しい人にちょっかいを出されて「嫌だ!」「やめて!」と言っているにも関わらず一向に相手が止めてくれなかったら、「やめてっていってるでしょ!!」と思いっきり怒りたくなりませんか??

 

犬たちにも全く同じことが言えるわけです。

 

「ちょっと嫌だな」と思ったときに回避をしたにもかかわらず追いかけられて、追い詰められ更に逃げているにも関わらず、逃げきれなくなってしまったら??

 

逃げるのをやめて攻撃に出るのも納得ですよね。

 

また、最初から逃げることができない犬もいます。

 

「怖い」と思ったら固まってしまい、思考停止してしまうのですね。

 

なので逃げることもできず、「嫌だ」と相手にも言えず、突然攻撃行動に出てしまう子もいるわけです。

 

そしてこれらの行動は、最初のうちは「逃げる」ということができていた犬も“逃げても嫌悪刺激から逃れられない”と学習したら逃げるのをやめて、最初から攻撃に出るようになります。

 

その為、犬の逃げ場をなくすような経験はさせてはいけない、というわけなのです。

 

正直申し上げまして、このような経験を通して攻撃を学んでしまった犬たちはごまんといます。

そして、大変申し上げにくいことではありますが、

自分の犬のことを理解しきれていない飼い主さんも同じくごまんといるのです。

 

私はドッグトレーナーは【犬の代弁者】であり、【飼い主さんの理解者】でありたいと思っています。

 

飼い主さんの対応で改善できることもたくさんあるので、世の中では「犬がこうなったのは飼い主が悪い」という風にも表現されますが、全て飼い主の責任とは言い切れません。

 

そして、このように言われた飼い主の中には大きなショックを受けて、犬との生活に自信をなくす方もいらっしゃいます。

 

このように言われて傷つかない飼い主さんはいないと思います。

 

確かに飼い主さんにも責任はありますが、そのように言われて自信を無くした飼い主さんが、生涯愛犬と良い関係を築いていくことができるのでしょうか?

 

飼い主さんの自信をへし折るために、トレーナーがいるわけではありません。

 

飼い主さんに「問題や原因を認識してもらう」ことは絶対必要なことです。

ですが、それは「飼い主さんを凹ましたり、飼い主さんにショックを与えること」ではありません。

 

私は指摘するべきところは指摘して、飼い主さんに課題を認識してもらい改善に向かっていけるようにサポートをするのが、トレーナーの仕事でもあると考えています。

 

そして飼い主さんに自信をつけてあげて、飼い主さんを愛犬の専属トレーナーにしてあげたいのです。

 

ドッグトレーナーよりも、何倍も長い時間一緒にその愛犬と過ごしているのは他ならぬ飼い主さんだからです。

 

犬リラックス

リラックス~

 

もしあなたが愛犬との関係性を深めたいなら、まずは犬の感情をしっかりと理解することから始めましょう。

 

 

初めからすべてわかってあげられるものではないかもしれませんが、「理解しようとする努力」なくして、愛犬との優良な関係は築けません。

 

 

この犬のしつけブログを通して、少しでも愛犬との関係づくりのヒントになれば幸いです。

 

次回もお楽しみに!

ご覧いただきありがとうございました。

 

 苦手克服術!

こんにちは!
プレイボゥのトレーニングマネージャーの赤堀です。

 

前回は「犬に何かを克服させる時は無理をせずに少しずつ」というお話をしました。

 

それでは、どのように克服させてあげるべきなのか。

 

これは正解はひとつではないので、具体的なやり方を文章で記すのは難しいのですが、犬が苦手に直面した時に、どんなことを大切にしたら良いのかということから考えていきたいと思います。

 

例えば、あなたが出かける前、ケージに愛犬をいれようとして抱っこしようとしたとします。

 

すると、愛犬はあなたから逃げるように離れていってしまいました。

 

「でも、もうすぐ家を出なくちゃいけないから、ケージに入れなきゃ!」

 

と焦ったあなたは、愛犬を追いかけ、もう一度抱っこを試みようと手を伸ばしました。

 

次の瞬間

 

「ガブッ!」

 

あなたは愛犬に咬まれてしまいました。

 

それ以降、愛犬はあなたが触ろうとすると唸るようになってしまいました・・・。

 

こんな経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか??

 

咬む犬

イメージ画像

 

咬まれると思っていなかったのに咬まれた場合、ショックですよね・・・

でも、ちょっとしたことでこの事態を回避してあげることができるかもしれません。

 

ここで、気づいていただきたいのは、

 

 

愛犬は、いきなり咬んできたわけではなく、まずは“逃げる”ということで意思表示をしている」

 

 

ということです。

 

 

犬は「興味・関心があるものには近づき、回避したいものからは離れます。

 

 

非常に単純なことですが、これに気づくだけでも犬のことを少し理解してあげることができます。

 

では、ケージに入れたい時、抱っこをしようとしたら逃げられる、もしくは嫌がられたらどうしたら良いか。

 

大抵の場合、犬は「これからケージに入れられるんだ」と感づいている場合が多いです。

なので、いつもは問題なく抱っこ出来る犬の場合でも、この時は逃げたり咬んだりするかもしれません。

 

まず、逃げたり嫌がられた時点で、追いかけるのではなく、「どうやったらだっこさせてくれるかな?」ということを考えてあげてほしいのです。

 

例えば、大好きなおやつを使って、犬の方から近づいてくれるようにするとか・・・

 

犬がクレートやキャリーを好きであれば、一度その中に入れて、ケージの中まで連れていくとか・・・

 

そもそも抱っこしないでも、おやつやおもちゃの誘導でケージに入ってもらうとか・・・

 

抱きかかえてケージに入れられることは、犬の気持ちを無視していることになってしまいます。

犬が自分の足で入って行くなど、犬が納得してケージ内に入ることを選択すれば極端に逃げたり嫌がることはなくなるはずです。

 

もちろん、必要な時だけケージやクレートに入れようとするだけでは、なかなか犬もケージやクレートを好きにはなってくれません。

日常生活の中でケージやクレートに慣らす機会をたくさん作ってあげる必要があります。

そして、この時絶対に無理に入れる、ということをしないようにします。

 

しかし実は、もっと楽な方法があります。

 

それは・・・

 

そもそもケージ(クレート)を使い始める時におやつやおもちゃで誘導し、子犬の頃から怖い場所ではない、ということを教えること」です。

トレーニングは「改善」よりも「予防」の方が何倍も楽なのです!!!

 

ハウスに入る犬

ハウスに入る犬

すでにケージ(クレート)をあまり好きではない犬も、上述したように、地道に根気よく慣らしていけば、少しずつ入れるようになるはずです!

諦めずに頑張ってみましょう!!

 

 

ちなみに、抱っこについて少しお話をすると・・・

犬は本来、地面に四つ足をつけている動物なので地面から浮いている時間が長いと、不安になると言われています。

 

また、子犬の頃から抱き癖がついていると、成犬になって不安を抱きやすい気質になる、とも言われています。

 

 

子犬の頃から地面に足をついて、自立することで自信がつき、堂々とふるまえるようになるのです。

 

抱っこ犬

抱っこは良い?!

 

抱っこすること自体がいけないわけではありませんが、必要以上に抱っこをするのは、犬にとってはあまり良いことではないとされています。

 

例えば、犬同士のあいさつの時に、抱っこした状態で相手の犬に近づけたりするのも逃げたくても逃げられない状況なので、非常に危険です。

 

犬のご挨拶

犬のご挨拶

 

人も、自分の意志で近づいたり離れたり、自由にできる方がストレスが少なく過ごせますよね。

 

犬たちには臨界距離(社会的距離)というものがあり、その距離よりも近づいてこられると逃げたり、攻撃行動に出ると言われています。

 

次回はこの臨界距離のお話をいたします。

お楽しみに!

 

 

 いぬのしあわせ

こんにちは!
プレイボゥのトレーニングマネージャーの赤堀です。

 

 

突然ですが、皆さんは

 

「犬のしつけ(トレーニング)」

 

 

というと、どんなイメージがありますか?

 

 

 

・犬のトレーニングって厳しそう

・しつけの料金が高そう

・手がかかる犬に行うイメージ

・しつけを受けている犬は特別な子

・子犬からしつけないと手遅れ

 

 

 

などなど・・・。

 

 

よくある声としては
このような内容があげられます。

 

 

 

果たして本当にそうなのでしょうか??

 

 

 

実は・・・

 

 

 

犬のしつけ(トレーニング)は
子犬から成犬まで、どんな犬にも必要なものです。

 

 

そして、

 

 

「吠えや咬みつき、お散歩の引っ張りなど
問題がある犬だけがやれば良い」

 

 

というのは大きな間違いで

 

 

正しくは

 

 

「問題を未然に防ぐために行う」

 

 

ものなのです。

 

 

しかし、まだまだ現代社会では

 

 

「犬の吠えや咬みつき、トイレの失敗、
お散歩の引っ張りなどに困ってから
ドッグトレーナーに依頼する」

 

 

という認識の方も多く、お金がかかるのも事実です。

 

 

私の一番の理想は、ドッグトレーナーにお願いをしなくても、
飼い主さんがドッグトレーナーと同じくらい
犬の気持ちに気づいて正しいしつけや対応が出来ることだと考えます。

 

 

“犬のしつけ” というと、

 

 

「犬に何かを教える」

 

 

というイメージがあると思います。

 

 

たしかに犬たちにも教えなくてはいけない事は
沢山ありますが、それと同じくらい飼い主さんも
犬を学ぶ必要性がたくさんあるのです。

 

 

犬たちも、

 

 

「もっと僕たち、私たちの言葉に耳を傾けて欲しい!」

 

 

と、思っているかもしれません。

 

 

美味しいご飯やおやつをたくさん食べて

 

 

犬とご飯

犬とご飯

 

 

ドッグランに行って

 

 

ドッグラン楽しい!

ドッグラン楽しい!

 

 

飼い主さん抱っこしてもらって、お洋服を着せて・・・

 

 

愛犬を抱っこ

愛犬を抱っこ

 

 

このような生活で幸せを感じる犬も
もちろんいるでしょう。

 

 

が、これらは本当にすべての犬にとって
幸せなことなのでしょうか??

 

 

「そのご飯は本当にその犬の体に合ったごはんですか?」

「太りすぎていませんか?」

「貴方の愛犬は本当にドッグランが好きですか?」

「他の犬に追いかけられて怖がっていたり、
他の犬を追い詰めたりしてませんか?」

「抱っこしようとすると逃げたり、嫌がる素振りはありませんか?」

「洋服を着せる時に嫌がって、暴れたり咬む素振りはありませんか?」

 

 

大抵の問題は犬の「ちょっと嫌だな」という気持ちに
飼い主さんが気づけないことがきっかけで起こります。

 

 

しつけやトレーニングを行うと、
犬のことが理解できるようになり、

 

 

犬の細かなサインや感情の変化を読み取ることができます。

 

 

つまり、犬との「会話」が増え、
正しいコミュニケーションがとれるようになるわけです。

 

 

犬が「ちょっと嫌だな」と言っていることに
早めに気づいてあげることで、

 

 

どうしたら苦手なものを乗り越えられるか、
一緒に犬と考えてあげることができるのです。

 

しつけ(トレーニング)は
「子犬の頃からしつけないと手遅れ」なのでしょうか?

 

 

確かに、早い方が問題を改善できる可能性は広がりますし、
問題を未然に防ぐこともできます。

 

 

しかし決して子犬の為だけではなく、
どの世代の犬たちにも必要なものが「しつけ(トレーニング)」なのです。

 

 

しつけ(トレーニング)は、「悪い子に必要」なのではなく

 

 

「犬のの良いところを最大限に伸ばしてあげる」

 

 

ものですので、今の生活の中でも
やってあげられることはたくさんあります。

 

 

飼い主がやりたいこと

 

 

愛犬がやりたいこと

 

 

のギャップがないように愛犬のことをよく観察して、
理解して良好な信頼関係を築いていっていきたいですね。

 

 

犬との絆

 愛犬と信頼関係を!

 

 

いかがでしたか?
犬のこと、もっと知りたくなりましたか??

 

 

次回も皆さんがより愛犬を理解できるような内容をお届けしますので、
ぜひ次回もお読みくださいね!

 

 “本当の”犬の社会化とは

こんにちは

 

毎朝携帯電話のアラームが鳴ってもなかなか起きれないのですが、愛犬の『あたち』「おはよー!!」と顔をピシパシ叩いて起こしにきてくれると、いちゃこらタイムに突入しすぐに目覚められる児玉です(*^^*)

 

普段はそっけないのですが、朝の甘えん坊なところもカワイイなぁ…とほのぼのした時間を過ごしますが、時々爪があたってしまい、ひっかき傷を作って出社します(笑)

 

さて、前回は『社会化の意味』をテーマにお伝えしましたが、今回はさらに深いところまで読み解いていきましょう!

 

『社会化』という言葉は10年前に比べるとだいぶ浸透してきているかと思いますが、“慣れさせる”というところだけが独り歩きし、「たくさんの人と犬などに会わせないと!!」と子犬に様々な経験をさせている飼い主さんがいらっしゃいます。

 

犬に慣れさせる

犬に慣れさせる

 

その心意気はとってもGOOD!!素晴らしいです(*^^*)

 

でも会わせることに重点を置いてしまうと犬が嫌がっているサインを見逃して会わせ続けてしまい、逆に犬嫌いにしてしまう可能性もあります。

 

ビーグルとスコティッシュ

犬に会わせるだけでなく…!

 

ただ会わせるだけでなく、「人や犬は怖い生き物ではないんだな」「知らない場所でも怖いことは起こらないんだな」と犬に教えてあげることが大事なのです!

 

犬の社会化の第一歩は嫌な印象を与えないように様々な経験をさせてあげることです!

 

では、「これを繰り返せば人や犬が大好きな犬になってくれて社会化がバッチリだね!!」

 

…本当にそうでしょうか?

 

実は、『社会化が出来ている=人や犬が大好き!!』ではないんです!!

 

人や犬がどんなに大好きでも『社会化不足だね』と言われてしまうことがあります。

 

社会化の意味をもう一度読み解いてみましょう。

 

社会化とは、犬が今後の人生ならぬ犬生で経験するであろう様々な刺激に慣れ親しませることと前回お伝えしました。

 

大事なのは、“様々な刺激に慣れ親しませる”“親しませる”という部分です。

 

慣れさせるだけであれば、慣れてくれれば大好きでもOKなのですが、親しませるという言葉が入ることで、大好き!!ではなく、身近なものとして感じる状態にするという意味が含まれてきます。

 

お散歩中に犬を見かけて「ワンちゃんだ!!遊びたい!!」と過剰に反応するのではなく、「ワンちゃんが散歩しているな…いつものことだけど…」と普通でいられることが重要なのです!

 

フレンチブルドッグさん

フレンチブルドッグさん

 

犬と出会うことも、知らない人の来客も、初めての場所にでかけることもすべてが過度の緊張や興奮をすることなく『いつものこと』と考えられるようになってもらうことが社会化の最終目標となります。

 

だからこそ犬と会ったときなどに必ずしも遊ぶのではなく、軽くご挨拶をするだけや通り過ぎるだけにしてあげることも必要です。

 

人に対しても同じようにかわいがってくれる人もいれば、そのまま通り過ぎる人もいることを経験させてあげることも実は大切なのです。

 

ぜひ、『社会化』の正しい意味を理解して、「ただの好き!!」ではなく「親しみをもつ」というところを目指して社会化トレーニングに取り組んであげてくださいね!